[アップデート] Amazon Connectのフローが管理画面からの「アーカイブ」「削除」操作に対応しました
みなさん、こんにちは!
福岡オフィスの青柳です。
先日、Amazon Connectに関するアップデート情報がまとめてアナウンスされましたが、その中でも「待望の」と言えるアップデートをご紹介します。
歴史を振り返る
2021年11月以前
Amazon Connectの「フロー」 (※) は、一度作成すると決して「削除」できないという制約 (仕様) がありました。
そのため、使わなくなったフローや、間違えて作成してしまったフローなど、不要になったフローであっても削除することはできませんでした。
不要になったフローがいくつも溜まってくると「フロー一覧」が見辛くなってしまうため、苦肉の策として、フローの名前に「zzz_〜」等を付けて区別するといった運用をする場合もありました。
以前は、いわゆる「フロー」について、Amazon Connectの正式用語では「問い合わせフロー (Contact Flow)」と呼ばれていましたが、いつからか正式名称が「フロー (Flow)」になったようです。 過去のブログ記事などを参照する時に「問い合わせフロー」という用語が出てきた時は、現在の用語である「フロー」に読み替えて頂くと理解し易いかと思います。
2021年11月のアップデート後
そんな状況が (少し) 変わったのが、2021/11/22に行われたアップデートです。
「API」「AWS CLI」を使用することによって、フローの削除が行えるようになったのです。
残念ながらこの時点ではGUI (Amazon Connectコンソール) からの削除には対応していませんでしたが、「どうしてもフローを削除したいんじゃ!!」という要求には対応できるようになりました。
今回のアップデート内容
今回のアップデートですが、端的に言うと「GUIでもフローが削除できるようになった」です。
ただ、それだけではなく、削除する前の段階として「アーカイブ」という操作が行えるようになった点が、大きなアップデートです。
今回のアップデートによって可能になった「フローのライフサイクル」を図にしてみました。
「アーカイブ」と言っても、バックアップ処理などの文脈で使われる「アーカイブ」とは意味合いが少し違うことに注意が必要かもしれません。
ここで言う「アーカイブ」は、上でも述べたように「削除する一つ前の段階」を意味します。 そして、「アーカイブ」状態にあるフローは「復元」という操作で元の状態に戻すことができるという点も、重要な概念です。
操作方法
それでは、ここからは「アーカイブ」「削除」そして「復元」の各操作の方法について解説しましょう。
フローの「アーカイブ」
フローをアーカイブするには、まず、フローの編集画面を開きます。
フロー編集画面の右上の「▼」ボタンをクリックして、プルダウンしたメニューから「アーカイブ」を選択します。
確認ダイアログが表示されますので「アーカイブ」を選択します。
これで、フローが「アーカイブ」されました。
アーカイブされたフローを確認するには、フロー一覧画面の右上にある「アーカイブを表示」のリンクをクリックします。
「フローのアーカイブ」画面になり、アーカイブされたフローの一覧を確認することができます。
フローの名前をクリックすると、アーカイブされたフローの内容を参照することができます。
ただし、アーカイブされたフローの内容を編集することはできません。 (編集しても、変更を保存する手段がありません)
アーカイブしたフローの「復元」
アーカイブされたフローを「復元」するには、アーカイブされたフローを開いた画面で、右上の「復元」ボタンをクリックします。
ボタンをクリックすると、特に確認もなく復元が行われます。
復元したフローは「フロー一覧」の画面に表示され、編集などの操作が行えるようになります。
アーカイブしたフローの「削除」
アーカイブされたフローを「削除」するには、アーカイブされたフローを開いた画面で、右上の「削除」ボタンをクリックします。
確認ダイアログが表示されますので「削除」を選択します。
これでフローが完全に「削除」されました。
元に戻す手段はありませんので、削除を行う場合は十分に注意してください。
操作方法についての補足
なお、「アーカイブ」や「復元」「削除」の操作は、「フロー一覧」画面や「アーカイブされたフロー一覧」画面からも行うことが可能です。
それぞれの一覧画面で、操作を行いたい対象のフローの一番右端にある「アクション」メニュー (「・・・」ボタン) をクリックすると、プルダウンメニューから操作を選択できます。
また、ここまでは「フロー」の「アーカイブ」「復元」「削除」について解説してきましたが、フローの一種である「フローモジュール」(あるいは単に「モジュール」) に対しても同様の操作で「アーカイブ」「復元」「削除」を行うことができます。
「アーカイブ」「削除」を行う際の留意事項
フロー・フローモジュールの「アーカイブ」「削除」に関して、いくつかの留意事項があります。
「デフォルトのフロー」はアーカイブまたは削除ができない
名前が「Default 〜」で始まる特別なフローである「デフォルトフロー」は、アーカイブや削除を行うことができません。 (行おうとするとエラーとなって実行できない)
デフォルトフローは、Amazon Connectの基本的な動作を定義する重要なフローです。 そのため、誤ってアーカイブ・削除してしまうことで電話業務に支障を与えることが無いように対策されているとも言えるでしょう。
「電話番号」「キュー」「クイック接続」に関連付けられたフローはアーカイブできない
これらのリソースに関連付けられているフローは「運用で使用されているフロー」である可能性があります。 これも、誤ってアーカイブを行ってしまうことで電話業務に支障を与えることが無いように対策されていると言ってよいでしょう。
もし、意図してフローをアーカイブしたい場合には、これらのリソースの関連付けを「解除」してから、改めてアーカイブ操作を行ってください。
他のフローやフローモジュールから参照されている「フロー」「フローモジュール」であっても警告無くアーカイブできてしまう
フローの中で、別のフローへの「転送」を行ったり、フローから「フローモジュール」を呼び出すことができます。 このように、他のフローから参照された状態の「フロー」「フローモジュール」に対してアーカイブ操作を行おうとすると、システム的なチェックは働かず、そのままアーカイブできてしまいます。
アーカイブされたフロー・フローモジュールは参照先としても利用することができなくなります。 例えば「フローへの転送」を設定していた場合に転送先のフローをアーカイブしてしまうと「転送」ブロックのエラーとなってしまいます。
このように、フロー・フローモジュール間で参照を行なっている場合は、誤ってアーカイブを行なってしまった際に電話業務に支障が発生する可能性があります。 このような場合でのアーカイブ操作には十分に注意をしてください。
アーカイブ状態のフロー・フローモジュールは、Amazon Connectのサービスクォータの対象としてカウントされる
サービスクォータの「インスタンスごとのフロー」「インスタンスごとのモジュール」は、アーカイブ状態のフローやフローモジュールも対象としてカウントします。 そのため、運用で使用しているフローの数がクォータ制限に掛かっていないからといって安心していても、アーカイブ状態のフローの数によってはクォータ制限に引っかかってしまう場合があります。
おわりに
これまでGUIでは行えなかった「削除」の操作がGUIで行えるようになっただけではなく、「アーカイブ」「復元」の操作にも対応するようになったという、大きなアップデートではないかと思います。
不要になったフローを削除して一覧画面をスッキリさせるだけではなく、一時的に利用しなくなったフローや、後で利用する可能性があるフローを「アーカイブ」できるようになったことで、フローの管理もより柔軟に行えるようになったのではないでしょうか。
参考リンク
現時点 (2023/08/02) ではいずれも英語のページのみ用意されています。
アップデート情報
Amazon Connect now supports archiving and deleting flows from the UI
https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2023/07/amazon-connect-archiving-deleting-flows-ui/
AWS公式ドキュメントの該当ページ
Archive, delete, and restore flows - Amazon Connect
https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/adminguide/delete-contact-flow.html